
スナックの領収書は、他の飲食店とまったく同じ紙です。特別な様式も、業種名の刷り込みもありません。それでも「頼みにくい」と感じる人が多いのは、経費で落とせるかという判断と、宛名や但し書きをどう書いてもらうかという実務が、頼む側の頭の中で混ざるからだと思います。ここでは領収書という書類の性質を整理しておきます。
頼むのは会計のとき、ひとことで足りる
タイミングは「お会計をお願いします」と言うときと同じです。その流れで「領収書をお願いします」と続ければ、それで伝わります。支払いを済ませてから思い出しても問題はありませんが、先に伝えたほうが宛名を書いてもらう時間が取れます。
領収書は原則として一つの会計に一枚です。紛失して再発行を頼んでも、二重に経費計上される恐れがあるため、断られるか「再発行」と明記した形になるのが普通です。もらったらその場で財布の決まった場所に入れておくのが確実です。
複数人で支払いを分ける場合は、分けた金額ごとに領収書を出してもらえます。ただし、一人がまとめて払ったあとで「三枚に分けて」と言うのは、実際の支払いと書類が食い違うため受けられません。分けるつもりがあるなら支払いの前に伝えておきます。会計の分け方はお支払いについてにもまとめてあります。
宛名は正式名称、「上様」は避ける
宛名は、支払った主体の正式名称を書きます。法人なら登記上の商号で、「株式会社」を前に付けるか後ろに付けるかまで正確に伝えます。「(株)」と略されていると、経理側で社名の特定に手間がかかります。個人事業主なら屋号か個人名です。
「上様」でもいいのか、とよく聞かれます。避けたほうが無難です。国税庁が示す領収書の記載事項には「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」が含まれ、宛名は本来書かれるべきものだからです。小売業や飲食店業など不特定多数を相手にする業態では省略が認められる特例もありますが、社内規程がそれより厳しく、宛名なしを認めない会社は珍しくありません。特例があることと、自分の会社で通ることは別の話です。
正確な社名が出てこないときは、名刺を見せて「これでお願いします」と言えば済みます。口頭で伝えるより確実で、書き間違いも防げます。
但し書きは「飲食代」が基本
但し書きは、何に対する支払いかを示す欄です。飲食店なら「お飲食代として」が一般的で、スナックでも同じです。「御品代として」は何を買ったのか分からないため、経理から書き直しを求められることがあります。
接待交際費として処理する場合、税務上は支払先と参加者の情報が重要になります。ただしそれは但し書きに書くものではなく、領収書の裏や精算書に、日付・相手先の会社名と氏名・人数・目的を自分で記録します。交際費の損金算入には一人あたりの金額基準が関わる場面があるため、人数の記録は特に抜けやすいところです。店を出る前にスマートフォンのメモに残しておくと確実です。
飲食費を会議費として扱えるか、交際費と福利厚生費のどちらに振るかといった判断は、会社の規程と税務の運用によって変わります。迷う場合は経理か税理士に確認してください。
会社名を伝えるという場面について
宛名を伝えるとは、勤務先を店に知らせるということでもあります。それが気になるという声はあります。
選択肢はいくつかあります。宛名を口頭ではなく名刺で渡せば、周囲に聞こえません。個人名で受け取って社内で精算できる会社なら、そちらでも構いません。経費で落とさないのであれば、領収書を頼まないという選択も当然あります。
当店のカウンターは8席で、話し声は届く距離です。宛名を書いてもらうときに気になることがあれば、伝票に書いて渡していただいても構いません。店にとって、宛名は書類に書く文字以上の意味を持ちません。
カードで払ったときの扱い
クレジットカードで支払った場合、店が渡すのはカード会社の売上票です。領収書と同じ役割を果たしますが、性質は少し違います。カード払いは現金の受け渡しがないため、法的には金銭の受取証書にあたらず、印紙税の対象外です。だから高額でも収入印紙が貼られていません。売上票に「クレジットカード利用」の記載があれば、それが印紙のない理由になります。
カード払いで宛名入りの領収書を別に求められることもありますが、店によっては売上票のみの対応になります。多くの会社の経理では、売上票とカードの利用明細で精算が成立します。自社の規程を先に確認しておくと、その場のやり取りが減ります。
電子マネーや交通系ICで払ったときも考え方は同じで、決済端末から出る利用控えが支払いの証明になります。当店は現金のほか、クレジットカード・電子マネー・交通系ICに対応しています。支払方法ごとの流れは料金システムもあわせてご覧ください。
紙の控え以外という選択肢
近年は、経費精算をアプリで完結させる会社が増えました。電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件が段階的に緩和され、紙の領収書を撮影して保存し、原本を廃棄できる運用が広がっています。撮影のタイミングや保存方法は社内規程で条件が定められていることが多いので、その日のうちに撮っておくのが安全です。
それでも紙をもらう意味はあります。撮影が失敗していた、金額が読めないといった事態は起こるので、精算が完了するまでは原本を残しておくほうが安心です。
会計のときに金額を確かめ、その場で宛名と但し書きを見て、間違いがあれば直してもらう。この三つを済ませてから店を出れば、翌朝の精算は数分で終わります。料金の仕組みそのものはスナックの料金の仕組みで整理しています。
なお、当店は喫煙目的店のため、20歳未満の方はご入店いただけません。
よくあるご質問
領収書はいつ頼めばいいですか
会計のときに「領収書をお願いします」と伝えれば大丈夫です。先に伝えておくと、宛名を書いてもらう時間が取れます。
但し書きは何と書いてもらうのがよいですか
飲食店では「お飲食代として」が一般的です。「御品代として」は内容が分からず、経理から書き直しを求められることがあります。
カードで払っても領収書はもらえますか
カード払いでは、カード会社の売上票が支払いの証明になります。宛名入りの領収書を別に発行するかは店によって異なるため、会計のときにお尋ねください。
宛名を「上様」にしてもらえますか
書くこと自体はできますが、宛名は本来記載されるべき項目で、宛名なしを認めない会社もあります。正式名称で受け取っておくほうが安全です。
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監修: スナック ジュゴン公開

