
居酒屋やスナックで席に着くと、頼んでいない小皿が出てくることがあります。これが「お通し」です。スナックのお通しとは何なのか、なぜ頼んでいないのに料金がかかるのか、断ることはできるのか。日本の飲食店に特有のこの習慣を、一般論として整理します。
座った時点で出てくる小皿の由来
お通しは、関東で「お通し」、関西で「突き出し」と呼ばれることが多い習慣です。語源には、注文が厨房に「通った」ことを客に知らせる合図だったという説、料理が届くまでのつなぎとして先に「突き出す」ものだったという説などがあります。どちらも、注文と提供の間の待ち時間を埋める役割を示しています。
もともとは居酒屋や割烹の習慣で、乾き物や煮物といった簡単なものが一品出されました。酒を先に頼んだ客が、料理が届くまで何もつまむものがない状態を避けるための配慮です。これが酒を中心に据えた夜の業態全般に広がりました。
海外から来た方が戸惑いやすいのもこの点です。英語圏には「頼んでいないものが出てきて代金がかかる」という商慣習がほとんどありません。似たものにイタリアのコペルト(席料)やフランスのアミューズ(一口の突き出し)がありますが、コペルトには食べ物が伴わず、アミューズには料金が伴いません。食べ物と料金の両方が伴うお通しは、日本に特徴的な形です。
出る店と出ない店が分かれる理由
スナックでお通しが出るかどうかは店によって分かれ、分かれ方には理由があります。
ひとつは設備の問題です。スナックは調理場を大きく取らない店が多く、冷蔵庫と流しだけで営業している店であれば、出せるものは乾き物か、仕入れてそのまま盛るものに限られます。
もうひとつは料金体系との関係です。スナックには一般に「チャージ」や「セット料金」と呼ばれる席料があります。この席料に小皿が含まれると考える店もあれば、席料と別にお通し代を取る店、お通しそのものを出さない店もあります。同じ看板でも、この部分の設計は一様ではありません。
三つめは店の性格です。食事を売りにしている店なら、お通しは食事メニューへの導入になります。カラオケと会話が中心の店では、手が汚れるものや匂いの強いものは敬遠され、つまみは最小限になる傾向があります。当店のカウンターで何が出るかは、ご来店時にお尋ねください。
お通し代は何の対価なのか
「頼んでいないものに払うのはおかしい」と感じる方もいます。この点は、お通し代が何の対価なのかを整理すると見通しがよくなります。
一般に、お通し代は二つの性格を併せ持つと説明されます。ひとつは小皿そのものの代金。もうひとつは席料としての性格で、席を確保し、その時間だけ空間を使えることへの対価にあたります。欧米のカバーチャージに近いのはこちらです。
法律の面では、お通し代の請求自体がただちに違法になるわけではありません。ただし、料金が発生することを客が知りうる状態にしておくのが前提です。案内のないまま高額な料金を後から請求する形は、消費者契約法や景品表示法の考え方に照らして問題になり得ます。メニューや店頭に表示する、注文時に伝える、といった手当てをしている店が多いのはそのためです。
スナックの場合はお通し代よりも席料の名前で示されることが多く、全体像はチャージ・飲み物代・カラオケ代の組み合わせで決まります。この組み立てはスナックの料金の仕組みで整理しています。会計の見通しが心配な方は料金の透明性も参考になります。
苦手なものが出てきたとき
アレルギーや苦手な食材がある場合、お通しは中身を選べない点で扱いに困ることがあります。席に着いてから慌てるのではなく、注文の前に伝えておくのが確実です。
伝える内容は二つです。ひとつは食べられないものがあること。甲殻類、そば、乳といった食材名まで伝えると、店は判断しやすくなります。もうひとつは、代わりのものを求めるのか不要なのかという希望です。差し替えができる店もあれば、仕込みの都合で難しい店もあります。
断れるかどうかも店によります。お通しを席料の一部として扱う店では、料理を辞退しても料金は変わらない運用が一般的です。単品として扱う店なら、断れば料金も外れます。どちらであるかは聞けば答えてもらえます。黙って残すより、最初に一言伝えるほうが互いに気持ちよく過ごせます。宗教や信条による制限も同じ扱いで、気後れする必要はありません。来店の流れははじめての方へにまとめています。
スナックに食事はあるのか
「スナック」という呼び名から、軽食が出る店だと想像する方もいます。この業態名は英語の snack(軽食)に由来しますが、それは料理の内容を表したものではありません。
背景には制度の事情があります。かつて深夜の酒類提供には規制があり、飲食物を出す飲食店であることを明確にする必要がありました。軽食を出す店という位置づけで営業を続けた店が「スナック」を名乗り、その呼び名が業態名として定着した、という経緯が広く知られています。つまりこの語は、料理の充実度ではなく成り立ちの名残です。
そのため食事の有無は店ごとに違います。ママが作る一品を売りにしている店、乾き物だけの店、食べ物を置かない店。どれもスナックです。お腹を満たす目的であれば、食事は先に済ませ、スナックは二軒目として使う組み立てが一般的です。この使い方は二軒目としてのスナックで触れています。
お通しの有無は、店の良し悪しではなく設計の違いです。出ない店が不親切なのでも、出る店が割高なのでもありません。気になるときは入店時に確認し、自分の過ごし方に合うかで選べば十分です。
なお、当店は喫煙目的店のため、20歳未満の方はご入店いただけません。
よくあるご質問
スナックのお通しとは何ですか?
注文していないのに席に着くと出てくる小皿のことです。関西では突き出しとも呼ばれます。料理が届くまでのつなぎとして出された習慣が、酒を中心にした夜の業態に広がったものです。
お通しは断れますか?
店によります。お通しを席料の一部として扱う店では、料理を辞退しても料金は変わらない運用が一般的です。単品として扱う店なら、断れば料金も外れます。入店時に確認するのが確実です。
アレルギーがあるときはどうすればよいですか?
注文の前に、食べられない食材名と、代わりのものを求めるのか不要なのかを伝えておくと、店が判断しやすくなります。
スナックには食事がありますか?
店ごとに違います。ママが作る一品を出す店、乾き物だけの店、食べ物を置かない店があります。お腹を満たす目的なら、食事を先に済ませて二軒目に使う組み立てが一般的です。
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監修: スナック ジュゴン公開

