
スナックの料金を調べていると「キャストドリンク」という言葉に行き当たります。キャストドリンクとは、カウンターの内側にいる人の飲み物を、客が注文して支払う料金項目のことです。頼まれて戸惑った、断ってよいものか分からない、会計でいくら乗るのか読めない。検索の理由はだいたいこのあたりだと思います。この記事では、この言葉を料金の項目として整理します。
呼び名は店によって違う
同じものが、店によって別の名前で呼ばれます。「レディースドリンク」「ママドリンク」など言い方はいくつかあり、メニューに「ドリンク(スタッフ)」とだけ書かれていることもあります。
言葉の成り立ちはそのままで、接客する側を指す「キャスト」と「ドリンク」を組み合わせた和製の呼び方です。業態としては、クラブやキャバクラなど接客を伴う飲食店で先に定着し、スナックにも広く使われるようになったと言われます。呼び名の違いは店の出自を反映していることが多く、意味そのものは大きく変わりません。
似た言葉に「同伴」「アフター」がありますが、これらは営業時間の外での行動を指す言葉で、店内の飲み物の会計とは別のものです。混同されやすいので、分けて覚えておくと読み違えません。
料金の項目として見ると単純
構えずに、会計の行として見てしまうのがいちばん分かりやすいです。スナックの会計は、席料であるチャージ、自分の飲み物代、カラオケ代といった項目の足し算でできています。キャストドリンクは、そこに「自分以外の人の飲み物代」が一行増えるだけの話です。
| 項目 | 誰が飲むか | 発生のしかた |
|---|---|---|
| チャージ | — | 入店した時点 |
| 自分の飲み物 | 自分 | 注文した分だけ |
| キャストドリンク | 接客する側 | 客が注文したときだけ |
| カラオケ | — | 歌った分だけ |
表のとおり、キャストドリンクは自動的には発生しません。注文して初めて会計に載ります。ここが、入店した時点で必ず発生するチャージとの違いです。チャージの考え方はスナックの「チャージ」とはに、会計全体の組み立てはスナックの料金の仕組みにまとめています。
金額の決まり方も、一般には自分の飲み物と同じです。多くのスナックでは、何を注文したかで金額が変わります。ソフトドリンクを頼めばソフトドリンクの値段です。「キャストドリンクは一律でいくら」と別に単価を決めている店もあれば、通常のメニューの価格がそのまま適用される店もあります。
義務ではない
結論から言うと、注文しなければ発生しません。飲食店の会計は注文に対して成立するものなので、頼んでいないものが載ることは本来ありません。
一般に、スナックで「何か飲んでもいいですか」と聞かれることはあります。これは注文の確認であって、請求ではありません。「今はいいです」「自分の分だけで」と答えれば、それで終わる話です。断ることに理由はいりませんし、説明する必要もありません。
気まずさを感じるとしたら、たいていは金額が読めないことが原因です。であれば、断るかどうかの前に「それはいくらですか」と聞いてしまうほうが早い。金額が分かったうえで頼む、あるいは頼まない。どちらも普通の判断です。飲み物を頼む場面全般については初めてのご来店でも触れています。
逆に、注文していないのに会計に入っていた場合は、確認してよい項目です。明細を見せてもらい、いつの分か聞けば済みます。料金の考え方は料金の透明性についてにまとめています。
一杯で場が動くことはある
義務ではない、という話の裏側も書いておきます。
飲み物をひとつ頼むと、グラスを出す、氷を入れる、軽く合わせる。その短い手順のあいだに、それまで止まっていた会話が動き出すことがあります。話題を探している時間に、手を動かす用事が挟まる。何を話すか決めていない席では、これが効きます。
新しいグラスが届くと、話が一区切りつくという働きもあります。長く座っていて同じ話題が続いたとき、そこで空気が入れ替わる。乾杯という所作には、そういう区切りの機能があります。
もっとも、頼めば必ずそうなるわけではありません。頼まずに自分のペースで飲んで、一曲歌って帰る。それも同じように普通の夜です。ひとりで来たときの過ごし方はひとりでも大丈夫にまとめています。
会計の前に確認しておくとよいこと
初めての店で不安をなくす方法は、結局のところ短く聞くことに尽きます。
- 入店時: 席料が何円か、それに何が含まれるか
- 注文時: メニューに価格が書かれているか
- 勧められたとき: その飲み物の単価がいくらか
- 会計前: 明細を見せてもらえるか
一般に、この四つが確認できる店は、会計で驚くことがあまりありません。どれかが曖昧なままだと、あとから「これは何の料金か」と考えることになります。
当店の場合、飲み物の価格はメニューに書いてあります。キャストドリンクも同じで、注文の前に金額をお伝えします。料金表は料金システムに載せています。
構える必要のある項目ではありません。メニューを見て、頼みたければ頼む。今日はいい、という夜があってもいい。そのくらいの距離で付き合えるものです。
なお、当店は喫煙目的店のため、20歳未満の方はご入店いただけません。
よくあるご質問
キャストドリンクとは何ですか?
一般に、接客する側の飲み物を客が注文して支払う料金項目のことです。呼び名は店により「レディースドリンク」「ママドリンク」などの違いがあります。
キャストドリンクは必ず頼まないといけませんか?
いいえ。注文しなければ発生しません。飲食店の会計は注文に対して成立するもので、頼んでいないものが載ることは本来ありません。
断るときは何と言えばいいですか?
「今はいいです」「自分の分だけで」と伝えれば十分です。理由を説明する必要はありません。
金額はどう決まりますか?
一般には自分の飲み物と同じで、何を注文したかで変わります。一律の単価を決めている店もあります。当店では注文前に価格をお伝えします。
関連するコラム
- はじめての方へスナックの「チャージ」とは - 席料の意味と、当店のチャージの内訳スナックの会計に出てくる「チャージ」という言葉。何の料金なのか、なぜかかるのか、時間で変わるのか。初めての方が抱く疑問を一般論として整理し、西荻窪のスナック ジュゴンではどう考えているかを説明します。
- はじめての方へスナックの料金の仕組み - チャージ・セット・ボトル「入ってみないと分からない」と思われがちなスナックの会計を、チャージ、セット料金、ボトル、サービス料といった要素に分けて整理します。そのうえで、西荻窪のスナック ジュゴンの場合はどうなるかを説明します。
- はじめての方へ一度は体験したいスナックのカウンター席スナックのカウンター席にはなぜ人が集まるのか。店の中心にある理由、声が届く広さ、手元が見える楽しみ、隣席との間合い、座る位置による過ごし方の違い、気をつけたい小さな作法まで、一般論として整理して紹介します。
- はじめての方へスナック初心者ガイド - 初めてでも安心して楽しむためのポイント初めてスナックに行く人のための入門ガイド。業態の成り立ちとバーや居酒屋との違い、料金の確認、カラオケ、会話、服装、喫煙、滞在時間、最初の一杯まで、入口で迷わないための知識をまとめました。
監修: スナック ジュゴン公開

