
スナックに行きたいけれど歌うのは苦手、という理由でためらう人は少なくありません。結論から書くと、スナックで歌わない客は珍しくありませんし、歌わないまま帰っても問題はありません。カラオケが置いてある店でも、それは使ってもいい設備であって、使わなければならない義務ではないからです。この記事では、歌わない側で夜を過ごすときの立ち位置と、勧められたときの受け方、聴く側にいるときの居心地の作り方を整理します。
カラオケは義務ではなく都度の注文
まず制度の話をしておくと、スナックのカラオケは多くの場合、歌った分だけ課金される仕組みです。当店も1曲200円で、歌った曲数をお会計に足します。ここで大事なのは、歌わなければその項目は発生しないということです。カラオケ料金が席料に最初から含まれている形式だと「元を取らないと損」という気持ちが働きますが、都度課金なら歌わない選択に金銭的な不利がありません。聴くだけの人と歌う人が同じ席料で同居できるのは、この課金の形によるところが大きいと言えます。
歴史的にも、カラオケは後から店に入ってきた設備です。スナックという業態が広まったのは1960年代から1970年代にかけてで、業務用のカラオケ機器が飲食店に普及し始めたのは1970年代です。つまりスナックには、カラオケがない時代の過ごし方が先にありました。座って飲み、話して帰る。その原型の上にカラオケが乗ったので、歌わない過ごし方は後から生まれた例外ではなく、元からある形です。
聴く側にも役割がある
歌う人だけで場が成立するわけではありません。誰かが歌うとき、聴いている人がいるかどうかで、その曲の意味は変わります。個室カラオケとスナックのカラオケの最大の違いは、聴き手の有無です。個室では自分のために歌いますが、スナックでは他人に聴かれる前提で歌います。だとすれば、聴く人は場の半分を担っていることになります。
することは難しくありません。歌っている人のほうに少し体を向ける。歌の途中で大きな声の話を被せない。終わったら拍手をする。この三つで十分です。手拍子を打つかどうかは曲によります。静かなバラードに一定の手拍子が入ると歌いにくくなることがあるので、迷ったら拍手だけにしておくのが無難です。
拍手は、聴く側が使える最も分かりやすい参加の手段です。歌い終わった直後の数秒は、歌った本人にとって落ち着かない時間でもあります。そこに音が返ってくるかどうかで、次にもう一曲入れるかどうかが決まることもある。歌わない人の拍手は、場の回転を支える実務でもあります。細かい作法はスナックのカラオケマナーにまとめました。
勧められたときの受け方
「何か歌う?」と聞かれてうまく返せずに困る、という相談はよくあります。ここは言い方を一つ用意しておくと楽になります。
- 「今日は聴く側でいます」
- 「歌わないので、そのぶんゆっくり飲みます」
- 「レパートリーが少ないので、また今度」
いずれも短く、理由を詳しく述べません。断る理由を長く説明すると、かえって「本当は歌いたいのかもしれない」と受け取られることがあります。歌わないと決めているなら、最初の一杯のタイミングで先に伝えてしまうのが確実です。宣言しておけば、順番を回すときにこちらを飛ばしてもらえます。
一般に、勧めるほうも強く押したいわけではありません。場に加われていない人がいないかを確認しているだけのことが多く、意思表示があればそれで済みます。曖昧に笑って流すほうが、何度も聞かれる結果につながります。なお、断ったあとに気が変わった場合は「やっぱり一曲だけ」と言い直して構いません。
飲むことに集中する夜
歌わないと決めると、そのぶん別のことに時間を使えます。分かりやすいのは、酒をゆっくり選ぶことです。焼酎の銘柄を飲み比べる、ウイスキーの割り方を変えてみる。こうした楽しみ方は、曲順を気にしていないときのほうが落ち着いてできます。焼酎やウイスキーの並びを眺めながら、一杯ずつ試していく夜も成立します。
飲まない場合も同じです。ソフトドリンクだけで過ごす人もいて、歌わず飲まずでも席にいられます。スナックが提供しているのは酒でもカラオケでもなく、座っていられる時間と場所だと考えると分かりやすいかもしれません。当店のチャージは時間無制限なので、曲を入れずに過ごしても時間の使い方は自由です。
二軒目として使う場合、歌わない過ごし方はとくに相性がよくなります。一軒目で話し疲れているとき、他人の歌を聴きながら黙って飲む時間は休憩に近い。二軒目としてのスナックでも触れていますが、夜の終盤に静かな席が必要になる場面は多くあります。
店に伝えておくとよいこと
店側に伝えておくと互いに楽なことが二つあります。一つは前述の「今日は歌わない」という意思。もう一つは音量の希望です。会話をしたいのか、静かに飲みたいのか。伝えておけば、それに応じた案内がしやすくなります。カウンター8席の店では、席の位置によって音の聞こえ方も変わります。
逆に、伝えなくてよいこともあります。歌わない理由です。音痴だから、声が出ないから、曲を知らないから。どれも説明する必要はありません。理由を求められる場面はまずありませんし、求められたとしても答えなくて構いません。
西荻窪駅から徒歩1分の地下で、青い波模様の壁に囲まれながら、他人の歌を肴に飲む。そういう使い方をする人のための席も、カウンターの中に含まれています。
なお、当店は喫煙目的店のため、20歳未満の方はご入店いただけません。
よくあるご質問
カラオケを歌わなくても入店できますか?
はい。歌うことは条件ではありません。聴くだけ、飲むだけで過ごす方もいらっしゃいます。
歌わない場合、料金は変わりますか?
カラオケは1曲ごとの課金なので、歌わなければその分は加算されません。
歌を勧められたら断ってもいいですか?
構いません。「今日は聴く側でいます」と短く伝えれば十分です。最初に伝えておくと順番を飛ばしてもらえます。
歌わない理由を説明する必要はありますか?
ありません。音痴だから、曲を知らないからといった理由を述べる必要はなく、尋ねられることもまずありません。
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監修: スナック ジュゴン公開

