
20代がスナックに行こうとするとき、最初に浮かぶのはたいてい「自分だけ浮くのではないか」という心配です。居酒屋やバーには抵抗がないのに、スナックの扉だけは重い。その感覚には理由があり、仕組みを知れば大半は解消します。
年齢層が読めないのは若者を想定していないからではない
多くの飲食店は、看板や価格帯、通りから見える店内で客層が推測できます。ところがスナックは雑居ビルの地下や上階にあって外から中が見えず、メニューも出ていない。誰がいるのかは扉を開けるまで分かりません。
この見えなさは業態の成り立ちに由来します。スナックが広がったのは1960年代から1970年代で、駅前の小さな区画に数多く生まれました。表通りの一等地ではなくビルの一区画を借り、看板ひとつで営業する。通りがかりを集める設計ではなく、少人数が繰り返し来ることを前提にした造りなので、外向きの情報がもともと少ないのです。
年齢層が読めないのは若い人を除いているからではなく、誰に対しても情報を出していない構造だということです。不安なら料金と営業時間を先に確認しておけば足ります。入店から会計までの流れははじめての方へにあります。
世代が違う人が並べる形になっている
スナックのカウンターは横一列で、隣の人とは正面を向き合わずに並びます。向かい合う席だと視線がぶつかり、黙っている時間が気詰まりになりますが、横並びなら不自然になりません。話すも黙るも選べるので、年齢差のある人同士ほどこの配置が効きます。
もうひとつは、カウンターの内側に立つ人の存在です。居酒屋はテーブル単位で会話が完結し、隣の卓と話し始めることはまずない。バーは一人客が多い一方、客同士をつなぐ役目を店が担うことは少ない。席が地続きで、かつ話を振る人がいる。その二つが重なると、接点のない人同士が同じ話題に乗ります。
話が合わないという心配は外れやすい
共通の話題がない、というのは若い世代がスナックを避ける理由としてよく挙がります。ただ実際に起きているのは、共通点を探す作業ではなく、知らない話を聞く時間です。世代が違えば前提がずれているのが最初から分かっているぶん、話は説明から始まる。この駅の前には何があったか、その仕事は昔どうだったか。検索に出ない細部が出てきます。
逆向きもあります。機器の操作、最近の言葉づかい、流行っている曲。若い側が教える場面は思ったより多く、教える側と教わる側が入れ替わる。年齢差が上下関係にならずに済むのは、この往復があるからです。詳しくはスナックで繋がる、世代を超えた友情に書きました。
知っている曲が違うのが前提
カラオケがある店では、選曲に世代が出ます。昭和歌謡、フォーク、80年代の歌謡曲、90年代のJ-POP、近年のヒット曲。並んだ曲を見れば、その夜の顔ぶれが分かります。
気が楽になるのは、曲が揃わないこと自体が前提だと知ることです。全員が同じ曲を知っている場を作ろうとすれば、世代の違う人が同じ部屋にいられません。知らない曲が流れる時間があるのは当たり前で、その間は聴いていればいい。
若い人が上の世代の曲を入れると場が沸く、ともよく言われます。自分の時代の曲が下の世代に残っていた事実が面白いからでしょう。自分の世代の曲を入れても構いません。何を歌うか迷うなら20代がスナックで歌う曲が参考になります。
教わる側に回れる場所が減っている
20代で行く利点を挙げるなら、年上の人に雑談として何かを聞ける場が少ないなかで、それができる数少ない場だという点です。職場では役職や評価が挟まり、趣味の集まりは前提が揃ってしまう。スナックは、たまたま同じ夜に同じ扉を開けたというだけで隣り合うので、利害が絡みません。聞き役でいるのも、世代が混ざる場では十分に成立する過ごし方です。
年齢を前に出さずに過ごす
年齢の話は出さなくても困りません。一般に、スナックでは名前も職業も言いたい人が言えばいいという扱いをされます。年齢も同じで、聞かれたら答え、聞かれなければ言わないで通る。ほかに押さえると楽なのは次の点です。
- 無理に輪に入らない。話している人たちがいても、自分の席で飲んでいれば十分です。
- 一杯で帰ってもいい。長くいることが良いとされる場ではありません。
- 奢る・奢られるを重くしない。断るときは「今日はこれで」で済みます。
- 帰り際に一言かける。「お先に」と言って出れば、次に来たときの距離が変わります。
料金の不安が残るなら先に確かめるのが確実です。ジュゴンのチャージは1名4,000円(時間無制限・女性1,000円引き)で、詳細は料金と仕組みにあります。
8席の部屋で起きること
ジュゴンは西荻窪駅から徒歩1分、青い電飾看板を目印に階段を下りた地下1階です。カウンター8席のみで、テーブル席や個室はありません。扉を開けると部屋の端まで見えるので、誰が何人いるのかがすぐ分かる。この一目で全部見えることが、初めての人の緊張を下げます。内装は海がテーマで、白い石目のカウンターに青い波模様の壁、水色・白・薄紫の椅子が一脚ずつ違う色で並ぶ、地下でも明るい部屋です。営業は21:00からLAST、水曜が定休です。
最初の一回で扉は普通の扉になる
スナックの扉が重いのは年齢の問題ではなく、中が見えないことと仕組みが分からないことの合計です。どちらも一度入れば解決し、二回目からは普通の店になる。20代のうちに済ませておけば、出張先でも二軒目でも選択肢が増えます。
なお、当店は喫煙目的店のため、20歳未満の方はご入店いただけません。
よくあるご質問
20代でスナックに行っても年齢的に浮きませんか
スナックは年齢や職業のそろわない人が同じカウンターに並ぶ業態です。外から中が見えない造りのため入る前に客層が読めませんが、それは若い人を想定していないからではなく、誰に対しても外向きの情報を出していない構造によるものです。
知っている曲が違って、カラオケで困りませんか
選曲に世代が出るのは前提です。全員が同じ曲を知っている状態を作ろうとすれば、世代の違う人が同じ部屋にいられません。知らない曲が流れる時間は聴いていれば足りますし、自分の世代の曲を入れて構いません。
年齢を聞かれたら答えないといけませんか
一般に、スナックでは名前も職業も言いたい人が言えばいいという扱いをされます。年齢も同じで、聞かれたら答え、聞かれなければ言わないままで通ります。
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監修: スナック ジュゴン公開

