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スナック ジュゴン

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    スナック ジュゴン
    波模様の壁の前に並ぶ青い椅子

    とりあえずビールという習慣

    「とりあえずビール」はなぜ定着したのか。戦後の酒場事情から生まれた背景、一杯目にビールが向く理由、苦手な人の代わりの一杯、乾杯という所作が担ってきた役割まで、この習慣の成り立ちと付き合い方を解説します。

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    写真:© 2005 by Tomasz Sienicki [user: tsca, mail: tomasz.sienicki at gmail.com]CC BY 2.5/ウィキメディア・コモンズ)

    飲み会の席で、座るなり誰かが「とりあえずビール」と言う。あの一言はなぜ定着したのか、と検索してくる人は少なくありません。結論から言えば、味の好みというより、注文と提供の速さ、そして全員の一杯を揃えるための段取りから生まれた習慣です。ここでは、その背景と、ビールが一杯目に向く理由、苦手な人がどうすればいいかを順に整理します。

    「とりあえず」が生まれた背景

    この言い回しが広まった土台には、戦後の飲食店の事情があります。高度経済成長期に大衆的な酒場が増え、勤め帰りの集団が一斉に席に着く場面が日常になりました。人数分の注文を一人ずつ聞いていけば時間がかかる。全員が同じものを頼めば話が早いという実用が、まず先に立ちます。

    もう一つは供給側の条件です。ビールは戦後に生産量が伸び、瓶や樽で広く流通する体制が整った酒でした。銘柄選びで迷う余地が少なく、店は冷やしておけばすぐ出せる。注文する側と出す側の手間が同時に減る選択肢だったわけです。

    「とりあえず」という言葉自体も意味を変えていきました。本来は「差し当たって」という保留の意味ですが、飲み会の場では「まだ決めていないが、場を始めるために」というニュアンスで使われます。一杯目は決定ではなく前置きだ、という了解が言葉に含まれている。後で好きなものに切り替える余地が残るので、習慣として使いやすくなりました。

    ただし全国一律だったわけではありません。日本酒の産地や焼酎文化の濃い地域では、一杯目から地元の酒という場もあります。都市部の大人数の宴席を中心に広がった慣習と見たほうが、実態には近いでしょう。

    一杯目にビールが向いている理由

    残ってきた以上、理由は段取りだけではありません。飲み物としての性質も一杯目に合っています。

    まず炭酸です。炭酸ガスは口の中の感覚を一度リセットするので、それまで食べていたものや外気の乾きを引きずらずに飲み始められます。喉が渇いた状態で最初に口にするものとして、この清涼感が効きます。

    次に温度と度数です。よく冷えた状態で出る飲み物は、飲んだ直後の満足感が強い。アルコール度数が5度前後と酒類の中では低めなのも一杯目向きで、度数の高い酒を空腹で流し込むより体への負担が緩やかになります。

    そして苦味です。ホップ由来の苦味は後に続く味を濁らせにくく、料理より先に飲み物が来る場面に向きます。加えて、ビールは一杯の量が決まっています。グラスや瓶の単位が明確なので全員がだいたい同じペースで飲み終わり、次の注文を取るタイミングが揃う。集団の飲み方に向いた酒でした。スナックでの扱いはビール・梅酒・日本酒などにまとめてあります。

    ビールが苦手な人の一杯目

    苦味や炭酸が苦手で、この習慣に付き合うのがつらいという声は昔からあります。実際には、一杯目をビールにしなければいけない決まりはどこにもありません。

    代わりの選択肢はいくつかあります。甘さのあるものなら梅酒のソーダ割り。炭酸の軽さは残しつつ苦味がありません。さっぱりさせたいなら焼酎のソーダ割りに柑橘を足したもの。アルコールを避けたいなら、ウーロン茶やジンジャーエールでそのまま乾杯に加われます。選択肢はソフトドリンクに並べてあります。

    順番を入れ替える手もあります。乾杯だけビールで済ませて二杯目から移る人もいれば、最初から別の酒で乾杯する人もいる。どちらも珍しくありません。ビールは一杯の量が多いので、残すのが気になるなら、はじめから量の少ないものを選んでおくほうが気は楽です。

    乾杯という所作が担っていること

    この習慣が残ってきたのは、乾杯という所作とセットだったからでもあります。乾杯は単なる合図ではなく、全員が同時に同じ動作をすることで場の始まりを区切る儀式です。

    世界各地に似た所作はありますが、日本の飲食の場では、全員のグラスが揃うまで飲み始めないという慣習が比較的強く働きます。だから一杯目は全員分が早く揃う必要があり、提供の速いビールが選ばれた。習慣と所作が互いを支え合ってきた構図です。

    注ぎ合う文化も同じ流れにあります。瓶ビールを互いのグラスに注ぐやりとりは、何を話すか決まっていない場面で手を動かす口実になってきました。ただし強制されるものではなく、自分で注いで構いません。乾杯の前に飲み始めても実際に問題になることはほとんどなく、作法として語られるものの多くは、その場の人が気持ちよく過ごすための目安であって規則ではありません。振る舞いについてはスナックのマナーでも触れています。

    習慣に従わないという選択

    押さえておきたいのは、この習慣が効率のために生まれたもので、飲む人の好みを規定するものではないという点です。大人数の宴席では今でも機能します。注文が早く済み、乾杯が揃い、話が始まる。理にかなっているから残っている。

    一方で、人数が少ない場や一人で飲む場では、その効率はほとんど意味を持ちません。飲みたいものを最初から選んだほうが、その夜は自分に合ったものになります。一人での過ごし方は一人で来るにまとめました。当店はカウンター8席のみの小さな店で、一杯目に何を頼むかで場が止まることはありません。

    「とりあえず」が保留を意味していたことを思い出すと、この習慣の扱い方も見えてきます。差し当たっての一杯であって、その夜の飲み方まで決めるものではない。何から始めるかは、本来それぞれが選んでいい部分です。

    なお、当店は喫煙目的店のため、20歳未満の方はご入店いただけません。

    よくあるご質問

    「とりあえずビール」と言わなければいけませんか

    決まりはありません。一杯目からお好きな飲み物を選べます。ソフトドリンクで乾杯に加わることもできます。

    ビールが苦手です。一杯目は何がいいですか

    梅酒のソーダ割りは炭酸の軽さがあって苦味がありません。焼酎のソーダ割りに柑橘を足すとさっぱりします。アルコールを避けたい場合はウーロン茶やジンジャーエールも選べます。

    なぜ一杯目はビールが多いのですか

    大人数の注文が早く済み、提供も速いという段取りの事情が大きいと言われています。炭酸の清涼感や度数の低さも、一杯目に向く性質です。

    乾杯の前に飲み始めてはいけませんか

    作法として語られることは多いものの、規則ではありません。その場の人が気持ちよく過ごすための目安として捉えるといいでしょう。

    スナック ジュゴン西荻窪駅徒歩1分

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    監修: スナック ジュゴン公開

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